所得税の計算の仕組み
こんにちは。
新しい年を迎えて、もう1ヶ月が経って2月になりました。
そうするとテレビ等で話題になるのが「所得税の確定申告」です。
個人で事業を営んでいる方、サラリーマン世帯で新しくお家を購入又は建てた方
など頑張って準備されているのではないでしょうか?
そこで所得税の計算の仕組みについて少しお話したいと思います。
所得税は「儲け」にかかる税金
所得税は個人が暦年(1月1日から12月31日)における「儲け」にかかる税金です。
儲けとは、どう計算されるのでしょうか?
イメージを湧かせてもらう為に、少し会計的な要素を入れてお話します。
みなさん、八百屋を想像してみてください(ちょっともう古いかな(笑))
八百屋が1年間に野菜を市場から1,000万円仕入れて、年間で1,500万円の売上があったします。そしてお店を維持する為に、人件費や光熱費などで300万円を経費として支払ったとします。
そうすると儲けは
「売上1,500万円ー仕入(原価)1,000万円ー経費300万円=利益200万円」
となりますよね。200万円が「儲け」です。
これを表にしたものが「損益計算書」です。
売上高 | 1,500万円 |
原価 | 1,000万円 |
売上総利益 | 500万円 |
販売・管理費 | 300万円 |
利益 | 200万円 |
このうち、税金の世界では、売上のことを「収入」と呼び、利益のことを「所得」と独特の呼び方をします。
確定申告書を見ると、左上にある「収入」と「所得」とある部分です。
(所得と呼ばれるものは、所得税法上10の区分に分類されますが、難しくなるのでそれについては、別の機会に!)
サラリーマン(給与所得者)の場合
上記のことは個人で事業を営んでいる方には馴染みがあると思いますが、現在の日本は働く方のうちほとんどがサラリーマン(給与所得者)です。
この場合はどう計算されるでしょうか?
サラリーマンの場合の売上は、年間給与総額がこれに該当します。
年収という言葉で呼ばれる部分ですね。これが「給与収入額」となります。
では、原価や経費はどうやって計算するのでしょうか?
サラリーマンだって、スーツや鞄、靴など仕事をするのに様々費用がかかります。
では、これを経費として良いのか、というとそうではなくて、これについては、法律でサラリーマンの原価・経費の額は決められています。
この理由は、この部分はそれぞれの人の価値観で大きく金額が変動するからです。
スーツでもオーダーメイドの10万円スーツを着ている人もいますし、某スーパー格安スーツをチョイスしている人だっています。
鞄にしても、時計にしても、文房具にしても同じで、それぞれ価値観の違いにより金額にばらつきが出ます。
これは税の世界ではよろしくありません。
「課税の公平の原則」に反するからです。
同じ500万円の給与収入の人がいたとしても、Aさんは高級スーツを買う為、経費が多 額になり、結果利益(所得)が少なくなる。
Bさんは格安スーツで我慢している為、経費が少なくて済み、結果利益(所得)が多くなると、税金は「所得」に税率を乗じて計算されるので、Bさんの方が税金が高くなるという不合理が発生します。
このことから、法律で給与所得者の経費については予め計算式を儲けて定めていて、価値観の違いにより所得に差異が出ないようされています。
この金額は最低65万円から最高220万円(H30年分まで)が収入の金額に応じて定められています。
この「給与所得」から「給与所得控除」を差し引いたものが「給与所得」となります。
各種所得控除
上記までで「儲け=所得」のイメージはできましたか?
ではこれに、所得税率が乗じられるのか?というとそうではありません。
この所得からさらに政策的意図や個人的事情を加味する意味でたくさんの所得控除が定められています。
列挙すると
・小規模企業共済掛金等控除(iDecoや小規模企業共済を払っている場合)
・生命保険料控除(生命保険料を支払っている場合)
・寄付金控除(寄付した場合。ふるさと納税は、これに該当します)
・寡婦、寡夫控除(夫婦の一方と死別・離別して、扶養する子がある場合)
・勤労学生控除(納税者が学生である場合)
・障害者控除(本人、または扶養する方に身体・精神に障害がある方)
・配偶者控除(夫婦の一方が所得が無い、またはあっても少額な方)
・扶養控除(扶養義務を有する子など、親族がある方)
・基礎控除(唯一無条件の、生きていれば誰にでもある控除)
・雑損控除(罹災、盗難などにより損害を受けられた方)
本当にたくさんあります。それぞれの控除についてはまた別の機会にお話するとしてこれら各納税者が該当するものを所得から差し引いて、「課税所得」が計算されます。
これに所得税率5%〜45%までの超過累進税率を乗じて、所得税が計算されるんです。
また超過累進税率って難しい言葉が出てきました。
例えば課税所得が300万円の人は、税率表を見ると10%のところに位置していますが、300万円全部に10%税金がかかる訳ではなく、195万円までは5%、195万円を超えて300万円までの金額について10%と計算されることに注意が必要です。
この税率表の見方は、まず全体に10%を乗じた後に、195万円までの部分で多く計算された部分を一番右側の控除額で減算して税金を計算する仕組みです。
そして算出された所得税額から、住宅ローン控除や配当控除などの税額控除項目を
差し引いて最終的な所得税が確定するのです。
最後にこの所得税とは別に、復興特別所得税が所得税額の2.1%が加算されて、年間所得税額が確定するのです。
年末調整の意義
みなさん、年末に勤め先で「年末調整」してもらって税金が戻ってきましたか?
年末調整とは、上記で述べた所得税の確定申告を勤め先が代わりに行ってくれて皆さんの所得税額を確定計算してくれる仕組みです。
いわば、所得税の確定申告のミニチュア版とでも言いましょうか・・・。
それはそうですよね。日本全国のサラリーマン全員が個人的に確定申告するとなると税務署はパンクしてしまいます。
また難しい税についてあまり知識がないサラリーマンにとっては大きな負担です。
だから給与所得者については、年末調整という仕組みがあるのです。
(でも勝手に自分自身の所得税が無意識のままに計算されて完結してしまうので、納税意識が低くなると副作用があり、本当はこれが目的なのでは?と穿った見方をしてしまう私です。)
1箇所のみからの給与所得しかないサラリーマンはほとんどが年末調整で申告納税を完結できるのですが、できないものもあります。
以下のようなひとです。
・医療費控除があるひと
・新しくお家を購入して、住宅ローン控除を受けようとするひと(初年度)
・寄付金控除があるひと(ふるさと納税のワンストップ制度を適用しないひと)
などは、会社で年末調整された結果である源泉徴収票とその他の資料を持って確定申告をする必要があります。
パートタイマーの103万円の壁とは?
よくパートタイマーの方において年収103万円ということを耳にします。
これは二つの意味があります。
①パートタイマー自身の103万円の壁
②パートタイマーの配偶者において、配偶者控除を適用するための壁
②については、昨年の税制改正で103万円の壁が150万円まで拡充されたとあったように緩和されています。
(正式には、103万円までは配偶者控除、150万円までは配偶者特別控除として、夫婦の相手側で税金計算上38万円の控除が使えるということです)
でも、社会保険の扶養要件である年収130万円の壁はそのままそびえ立っていますの実際には130万円の範囲内で働かれるパートタイマーの方が多いです。
さて①のパートタイマー自身の税金の問題ですが、これは103万円までの年間収入であれば、パートの方本人が所得税がかからないということです。
これは、 サラリーマン(給与所得者)の場合 で述べた最低限の給与所得控除65万円と3での基礎控除38万円という給与所得者であれば必ずある控除額の二つの足した金額です。
給与収入103万円 ー 給与所得控除65万円ー基礎控除38万円=課税所得0円
課税所得が0円だとこれに税率を乗じても税金も0円なんですね。
簡単にかくつもりでしたが、長文になってしまいました。
また別の機会で本日お話したことを、部分的に掘り下げて、皆さんの税金について
勉強して行ければと思います。
最後までお読みいただいた方、お疲れ様でした。
本当にありがとうございました。